AFMについて

AFM(Atomic Force Microscope)の概要とその高解像の説明

原子間力顕微鏡 ( Atomic Force Microscope : AFM ) は試料表面の状態を画像化することができる新しい走査型顕微鏡です。以下のイラストをご覧下さい。その動作・構造は触針式段差計とよく似ています。カンチレバーは触針式段差計ではバネの機能を担います。一般に触針式段差計は1ラインのみ走査してプロファイルを得るのに対し、AFM では試料を XYZ 方向に走査することにより試料表面の3次元形状情報を得ることができます。

Stylus profilometer and AFM

Illuminating lever

右の写真はAFMで用いられる160µm長さ、幅50µmのカンチレバーです。赤色のセンサー光をカンチレバーの上から4分の1のところに照射した様子を光学顕微鏡で観察しました。人の髪の毛の太さ(径)より細いカンチレバーのような部品は触針式段差径には無く、カンチレバーはAFM装置を象徴する機械部品の一つです。

Mechanical probe apex and Optical probe

カンチレバーの先端には写真奥方向に伸びる探針が形成されています。AFMにおいては、先端が数10nmまで尖った探針を使用し、高感度光センサーを用いて探針加重を小さく制御することにより、試料面方向の解像度はナノメータレベルまで高められています。 AFMの持つ試料面方向の高分解能は右の図からも理解できます。対物レンズで集光した光のスポット径とカンチレバー探針の径を比較すると、いかにAFMのカンチレバー探針のほうが試料の小さな領域にアクセスできるかがわかります。

AFMの複数の測定モードについて

AFMの基本的な装置構成を同じとしたまま内部の動作をかえて行う測定法(測定モード)がいくつか提案されています。主な2つの方法である、コンタクトモードAFM(DCモードAFM)とACモードAFMについて簡単にふれます。
コンタクトモード測定法では, 一定の小さな探針加重で探針先端を試料に接触させ表面をトレースします(左下イラスト)。 これに対しACモード測定法では、右下イラストのように、探針およびカンチレバーは垂直方向に振動しながら試料表面に沿って走査されます。コンタクトモード測定法では、走査中、探針先端に横方向に向かう力が加わり続けるのに対し、ACモード測定法では振動の1周期毎その力がリセットされます。

DC/AC operation

コンタクトモードAFM測定に用いるカンチレバーは、探針加重を小さくするためできるだけバネ定数を小さくした柔らかいカンチレバーであることが必要です。
ACモードAFM測定で用いられるカンチレバーは、それとは異なった特性が求められます。コンタクトモード測定用のカンチレバーと比べ、カンチレバーは硬く、共振周波数が高く、Q値が高いものが使われます。安定して高解像画像を得る為にはそれらの特性のなかでQ値がとても重要です。試料表面より離れたところで探針をカンチレバーの共振周波数で振動させ、徐々に探針を試料表面に近づけて行くと、その振動する様子は変化します。Q値の高いカンチレバーを用いると試料表面近くで急激に振動が小さくなります。すなわち高い感度でカンチレバーの振動変位状態の変化をとらえることができます。高感度で変化を捉えられれば探針(振動中心)と試料表面との間隔を一定に保つ制御を精度よく行うことができます。

コンタクトモードとACモードに共通して言えることは、横方向の分解能は探針先端の形状に大きく依存し、高解像測定の為には尖った探針を使用することが大切です。
オリンパスは高精細な画像を得るため、半導体プロセスによるマイクロファブリケーションを使い、先端が安定して尖っている探針の作製にこだわってまいりました。ナノメーター領域を対象としたお客様の御研究をマイクロカンチレバーを通じてご支援できるものと確信しております。

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